今回は、Jackely社のポータブル電源700をレビューしたいと思います。
本体正面
まずJackery社に関して。Jackeryという会社は今まで知らず、ポータブル電源と言えば、Smarttap社やSuaoki社、Anker社あたりが有力かなと思っていました。
しかし、久しぶりにAmazonでポータブル電源を探していると、Jackery社の製品がレビュー欄で良い評価を得ていることに気づきました。どんなメーカーなんだろうと調べてみると、米国では有名なメーカーであることがわかりました。今までどうして気づかなかったんだろう… 今回の製品には期待しています。
内容物
内容物は、ポータブル電源本体、付属品収納用ポーチ、充電用シガープラグケーブル、ACアダプター、説明書などです。
付属品収納用ポーチは長方形型で、チャックにより2辺が開閉できるようになっています。側面は伸縮性のある素材でできており、ソフトケースとなっています。ACアダプターと充電用シガープラグケーブルを入れるものですが、内部には仕切りはありません。
ACアダプターは出力25.2V 3.5Aのものです。LEDインジケータがついており、充電している間は赤色に、充電が完了したときは緑色に点灯します。PSEマークがついているため、品質は十分なものだと考えられます。ノートパソコンのACアダプターのように、コンセント側のコードは取り外すことができます。
充電用シガープラグケーブルは、LEDインジケータなどはついていませんでした。
説明書など
説明書だけでなく保証書や問い合わせ先の書かれた紙が入っていました。
本体外観
パッケージ箱の大きさと重さから、結構な大きさがあるのではないかと思っていましたが、実際は、サイズが横299.7×高さ192.9×奥行191.5 mm とそれほどではありませんでした。
重さは6.3kgと重たいです。見た目がコンパクトなので、本体の重さと大きさにギャップがあります。他企業のほぼ同じ容量の製品と比べて軽めなようですが、重たいことに変わりはありません。しかし、容量が大きいので重量が増えることは仕方がないですし、逆に軽かったら本当に大容量なのか不安になりますからこれくらいが丁度いいのかもしれません。
本体前面
本体前面には、ディスプレイ、ディスプレイボタン、充電用端子とインジケータ、AC出力端子、USB出力端子、DC出力端子、シガーソケット出力端子、各出力に対応した出力スイッチがあります。Smarttap社のポータブル電源のデザインと似ていますね。
ディスプレイボタンを押すと、バッテリー残量や給電状況といったポータブル電源の状態がわかります。また、LCDディスプレイのバックライトが点灯します。
充電時は、充電用DCジャックの隣のLEDインジケータが青色に点灯します。
AC出力として、コンセントが2つ搭載されています。定格出力500W、最大出力1000Wとなかなかの高出力です。PURE SINE-WAVEと記載されているように、出力される交流は純正弦波です。ちなみに、コンセント下の穴はアースでもなんでもなく、本体デザイン?のための穴のようです。
USB出力は、5V2.4A出力のUSBポートが3つ搭載されています。いづれのポートもQCやPDなどの規格には対応していません。
DC出力は、12V7A出力で、DCジャックが2つ付いています。DCジャックの径に関しては、6mm径としか説明書には記載されていませんでした。
シガージャックは車のものと変わりはないです。こちらは最大12V10A出力となっています。
本体側面
本体側面には冷却ファン用の通気口があります。本体前面からみて左側が吸気口、右側が排気口となっています。吸気口側にはほこりなどがたまらないように注意したいですね。
本体背面
本体背面には特に何もありません。組み立て用のねじ穴があるのみです。
本体底面
本体底面には仕様や注意事項が書かれたシールが貼られています。PSE、FCC、RoHSといった安全規格に対応していることがシールに記載されているマークからわかります。
本体上面
本体上面には取っ手がついています。取っ手を動かすときには少し抵抗感があり、本体をひっくり返すとカタカタ動いてしまうようなものではありません。ガタついたりせず、6.6kgの本体を支えるには十分な強度があると思います。
仕様
容量 | 706.4Wh (32Ah/22.02V) |
---|---|
出力 | AC出力:100V 5A 60Hz 定格500W(瞬間最大1000W)[純正弦波] USB出力:5V 2.4A DC出力:12V 7A,6mm シガーソケット出力:12V 10A |
入力 | 12V~30V 3.5A(直流) 最大100W |
重量 | 6.3kg |
サイズ | 299.7×192.9×191.5 mm |
動作温度 | -10~40℃ |
充電温度 | 0~40℃ |
保護回路 | 温度制御、サージ保護、短絡保護回路内蔵 |
バッテリー | リチウムイオンバッテリー |
本体のバッテリーには18650リチウムイオンバッテリーが使用されているようです。
使用してみて
充電について
ACアダプターを用いて充電してみたところ、0%から100%まで充電するのにかかった時間は約10時15分でした。個体によって差はあるとは思いますが、充電には大体10時間はかかると思います。大容量なだけに充電にはたくさんの時間が必要になりますね。「就寝時に充電しておけば、朝起きた時にフル充電されている」ということはできないため、休日などを使って半日かけて充電する、あるいは何回かに充電を分ける必要がありそうです。
充電中、本体の発熱はありませんでした。しかし、充電時の入力電力は81Wと表示されているだけあって、ACアダプターが結構発熱したため、長時間の充電ではACアダプターに熱がこもらないように注意する必要があります。
充電には、付属のACアダプター、シガープラグコード以外にもソーラーパネルからの充電が可能です。ただし、ソーラーパネルを用いて充電する場合は、別途接続用のケーブルが必要になります。
AC出力
AC出力ボタンを押すと、内蔵されているファンが一度回ります。初めて起動したときは驚きました。
AC出力使用時は、内蔵されているインバーターの使用で、キーンという高音が聞こえます。このキーンという音はまあまあ大きめな音で、室内など外部の音がないときでは近くにいるとはっきりと聞こえます。大容量のポータブル電源はこれが初めてなので、他の同性能の製品でこの高音が鳴るかどうかの比較はできないのですが、出力の大きなポータブル電源では宿命なのでしょうか。
試しに家にある扇風機を一台で弱運転(ポータブル電源によると約36W)で使用してみたところ、数分おきくらいで内蔵されている冷却ファンが回りました。ファンの音の大きさは、家で涼むために使うような扇風機よりは大きく、サーキュレーターなどの羽が小さめな送風機の音よりは小さいです。(圧力IH炊飯器のファンの音と同じくらいと言って伝われば幸いです)
静かな室内だと目立つ音ですが、屋外で使う分には気にならない音だと思います。
扇風機一台でファンが動作したことから想像したことなのですが、冷却ファンは低負荷でも動作するようにできているのでしょうか。このレビュー記事を書いている間も扇風機につないで使用していたのですが、結構な頻度で冷却ファンが回っていました。
冷却ファンは、負荷の大きさによって回転数を変化させているわけではなく、ファンの動作時間を変えて冷却具合を変えているようです。
純正弦波が出力されているため、消費電力が500W以下のものであれば、精密機器やマイコン制御の電化製品など様々な電化製品が使えます。しかし、AC出力は60Hzしか対応していないので、50Hzでしか動作しない機器には使用することができません。ご注意ください。
USB出力
USB出力はスマホの充電をするには十分なものでした。ポート数も3つついているため、複数台のスマホを同時に充電できます。
ただ、欲を言えば1ポート位はQCやPD対応にしてもらえればより良かったかなと思います。私はポータブル電源のUSBポートをスマホの充電くらいにしか使わないので、Suaoki社のポータブル電源に搭載されたQC3.0対応ポートが魅力的に感じます。Jackery社はAC出力に重点を置いたポータブル電源を開発しているのでしょうけれど、次の新商品ではUSBポートにも重点を置いてもらって、QCやPDに対応したUSBポートを搭載してもらえれば…と願っております。
DC&シガーソケット出力
私はDC出力はシガーソケット出力を使うくらいならAC出力を使うという人間なので、期待に沿えるようなレビューはできません… おそらくですが、車の中でポータブル電源を使う人にとって必要になる機能なのかなと思います。
DC出力を使用しないため、DC出力やシガーソケット出力の使用感や評価は伝えることができないのですが、一つ シガーソケット出力に関してあったらいいなというものがあります。シガーソケットをしないときのためにカバーです。Amazonなどでポータブル電源を見ていると、毎回シガーソケットが丸出しになっているのが気になります。シガーソケットは穴の大きさがある程度あるため、ごみなどが入ってしまいそうで心配になります。無駄な心配かもしれませんが。
充電しながらの使用
充電しながら使用すること(パススルー)はできましたが、メーカーによると、充電しながら電気を供給するとバッテリーの劣化を速めてしまうそうなので、基本的にはやめておいた方がよさそうです。外出先では充電しながら使用することはあまりないとは思いますけれど
使用時間から容量の計算をする
充電の減り具合がどれくらいかを簡易的にですが調べてみました。
使用した家電製品は扇風機で、強運転にて動作させました。平均消費電力はポータブル電源のディスプレイによると45Wのようです。
ちなみに、なぜ扇風機を選んだのかというと、夏は扇風機を長時間使用するため、長時間家電製品を動かす使用時間テストにはもってこいの製品だと思ったからです。消費電力も500Wを超えていませんし、うってつけ家電ですね。
経過時間 | バッテリー残量 | ディスプレイの出力電力 |
0時間 | 100% | 45W |
3時間 | 82% | 44W |
6時間 | 63% | 45W |
9時間 | 41% | 45W |
12時間 | 22% | 44W |
15時間 | 3% | 43W |
約14時間15分 | 0% | 0W |
とても簡単なテストになってしまい申し訳ありません。経過時間の最後が約15時間となっているのは、14時間15分になったとたんに0%になっていたわけではなく、そこから数分前に0%になったためです。
45W×14.25h=641.25Wh
となります。
実際のところ、14時間15分よりも前にバッテリーが空になったので、さらに小さい値になると考えられます。しかし、インバータで直流から交流に変換するときの損失などもあるため計算上の容量が小さくなるのは仕方がないことで、バッテリー容量の詐称はないのかなと思います。個体差があると思うので言い切れるわけではありませんが。
どうでもいい話ですが、大容量ポータブル電源ともなると、バッテリーを空にするのも一苦労ですね。扇風機を使ってバッテリーを空にするのにものすごい時間がかかりました。
まとめ
このポータブル電源の魅力は、小型の電源であるにもかかわらず、194400mAhという容量の多さや定格500W出力が可能であるという点ですね。同じサイズの他のメーカーのポータブル電源は、容量は多くても定格300W出力までとなっていたり、定格500Wであっても容量が少なめだったりと、今回の「ポータブル電源700」を超える製品はないように思います。(もちろんサイズが大きくなれば、性能がより上の製品もあります。)
それ以外の性能、例えばAC出力、USB出力などといった出力手段は他社のポータブル電源とほとんど同じですね。これ以上の出力手段はあっても意味がないのかもしれません。そのため、この製品は他社のポータブル電源の出力電力に不満(300W以上使いたい)がある人や、バッテリー容量に不満(もっと長時間使いたい)がある人におすすめできる製品なのではないかと思います。
この製品に不満があるとしたら、冷却ファンの動作音とAC出力使用時のキーンという音が大きいということが挙げられます。高出力であるが故の欠点かもしれませんが、可能な限り音を減らすことができればより良いと思います。また、USB出力にQCやPDといった機能が少しは欲しいことや、シガーソケットを覆うカバーが欲しいことが挙げられます。ただ、この二つの要望は、QCなどの機能はなくても別にいいという方もいらっしゃると思いますし、不満というよりかは個人的なお願いに近いですね。
\ 1月26日限定 /