今回は、現時点で史上最強のLEDライトであるImalentの「MS18」をレビューしたいと思います。
MS18はCreeのXHP70.2というLEDチップを18個搭載することで最大100000lmという驚異的な明るさを実現したLEDライトです。
驚異の明るさを実現するために、18個のLEDチップや大型のヒートシンク、冷却用ファンをヘッド部分に組み込んでいるため、外観だけでも十分迫力のあるライトとなっています。
写真で見るとそうでもないかもしれませんが、ヘッド周りはとても太くて、両手でギリギリ外周を覆えるか覆えないかくらいの直径があります。
ここから照射される光の強さは言うまでもありません。
ただし性能がずば抜けているだけあって、私が今まで買ったライトの中では一番高いものとなっているため、安易にライトを外に持ち出したり雨風にあてたりしたくない気持ちになります。
パッケージ及び内容物
パッケージは結構大型で、400Whのポータブル電源くらいのサイズがあります。パッケージは表面が合成皮で覆われており、さらに取っ手付きという豪華な仕様になっています。
内部はライト本体や付属品に合わせて造形されたスポンジが入っていました。
内容物は、LEDライト本体、充電用ACアダプター、ショルダーベルト、予備Oリング2個、説明書です。
パッケージが大きいので付属品がたくさんあるのかと思いきや、ほとんどは緩衝材のスポンジで占められていました。
ACアダプターは出力が19V2Aのものです。出力端子は普通のDCプラグであったため、19Vの汎用ACアダプターでプラグのサイズが合えば代替品として使えそうです。
コードが細く断線しやすそうなのに注意が必要ですね。
ちなみにACアダプターにPSEマークはありませんでした。
ショルダーベルトはIMALENTロゴ付きでほつれなどもないしっかりしたものです。本体ヘッドとテール部のストラップホールにつなげることで肩掛けで使用できます。
ショルダーベルトを付けた時に、サイドスイッチが上を向くようにストラップホール配置されているので、肩掛けしたら操作がしにくくなるということはありません。
ライト自体が結構重たいので、長時間使用するときや女性の方にとってはショルダーベルトは必須なのではないかと思います。
説明書は多国語で書かれており、もちろん日本語表記もありました。ただし、中国メーカー特有のおかしな日本語が所々にあったため残念に思いました。今後の翻訳精度の向上に期待したいと思います。
予備のOリングは、バッテリーとヘッドをつなぐねじ部につけるものでした。このライトにはねじ部がヘッド‐バッテリー間とテール部の二つがありますが、テール部を覆っているキャップにはOリングがもとからついていませんでした。
本体外観
外観
本体は黒基調のデザインです。グリップ部は起伏が少なめですらっとした感じですが、ヘッド部は角ばっている印象があります。このヘッドの形状のおかげで、ライトを横にしたときに転がってしまうのを心配する必要はなさそうです。
また、大抵の10000lmほどの爆光ライトでは、ヘッド部分に放熱用のフィン(表面積を増やすためのギザギザ)がついていますが、このMS18にはフィンではなく、放熱用のスリットが開いているのに目新しさを感じました。
見たところ全体的にきれいな仕上がりとなっており、以前レビューしたBG10という自転車ライトの作りと比べると改善されている感じがしました。
さすがに高級なライトだけあって、細部までぬかりなくできているのでしょう。
重量は約2kgほどあるため、片手で長時間持つと疲れると思います。手で持つ時間が長くなれば長くなるほど、ショルダーベルトのありがたみがよくわかりそうです。
サイドスイッチはストロークが短くクリック感があります。簡単に押せてしまうので、物が当たったりして勝手にライトが点灯してしまうかもしれません。
スイッチロック機能などを駆使して簡単にライトが点灯しないようにする必要があります。100000lmモードでカバンの中が照らされてしまうのは、発火の恐れがあるため避けなければなりません。
サイドスイッチの上にはOLEDディスプレイが埋め込まれています。モードや電圧表示などが表示されるため若干ですが近未来感を感じます。
明るいところでは見づらいですが、懐中電灯を使わなければならないような暗い場所では視認性がいいです。以前レビューしたBG10にもOLEDディスプレイがついていました。
サイドスイッチを長押しすると、スイッチ上部についているライトが点灯し、暗いところでもスイッチの場所がわかるようになります。
光量は微々たるものですが、サイドスイッチに金属光沢があるからか暗いところでの視認性は良いです。
バッテリーの端子は金メッキが施されていました。また、画像ではわかりにくいかもしれませんが、バッテリー端子としてのスプリングには2つのスプリングが重ね合わせてありました。
さすがに大電流を流す必要がある以上、ただのスプリングでは役不足になってしまうのでしょう。
最大モード時では一体どれだけの電流が流れているのでしょう…
ちなみに初めてバッテリー部とヘッド部を分離したとき、ねじの部分にグリスがべったり塗ってありました。
グリスの大サービスですが、結局ふき取る羽目になるのでもう少しグリス減らしてくれともいいんだよと思いました。
直径が13cmほどあり、一般人は確実に驚愕すると思います。さらに搭載されているLEDが多いので、ライトを点灯しなくとも正面から見るだけで圧倒されます。
明るさ偽装しているような無名中国メーカーの安物LEDライトに、大量のLEDを搭載したものがありますが、それに通づるものがありますね。
MS18の明るさには偽りはないと点灯して思いましたけれど。ただ、ここまでくるとLEDの黄身が多くて気味が悪いですね。はい。
ただでさえ熱々になるXHP70.2が18個もついているとなると、ヒートシンクは一昔前のCPUクーラーレベルの大きさのものがついているのだろうなと思います。
ヘッド側面からはLED放熱用の冷却ファンと銅製ヒートシンク、さらにヒートパイプが見えます。目視できる部分から考えると、ヒートシンクは6cm × 7~8cmで、高さ4cmくらいのサイズがあるように見えます。
ヒートパイプも直径1cmくらいありそうです。放熱口から見えるヒートシンクから、このライトは金属製のボディに放熱を任せるのではなく、冷却用のファンとヒートシンクを駆使して放熱しているのがわかります。
さすがに18灯のLEDを同時に点灯させるとなると、金属製の外装だけでは放熱しきれない領域まで踏み込んでしまうことになるようです。
ライト本体がもっと大きければ外装のみで放熱するのでしょうが、手で持てるサイズに抑え込むにはMS18のように別途冷却機構が必要になるのかもしれません。
購入直後なのできれいな銅色をしていますが、水に触れさせてしまうとヒートシンクの腐食が進んでしまうそうなので、IP56の防水性能があるといいつつも、雨天時での使用や水洗いは極力避けたいところです。
テール部のキャップを取り外すと。充電用のDCジャックが出てきます。DCジャックの周辺にはLEDインジケータが埋め込まれており、充電中は赤色に、充電完了時は緑色に点灯します。充電端子がPDに対応したUSB type-C端子だったら、専用の充電器を持ち運びせずに済んだかもしれないんだけどなぁと思いました。
キャップ取り付け用のねじ部にはOリングがなかったため、ライト本体の防水性能IP56があることを考えると、おそらく充電用DCジャックには防水性能があるものが使われていると思われます。
ちなみに、専用バッテリーの中には容量4000mhAの21700電池が8本内蔵されているようですが、電池の交換はできないため、電池の寿命がきたら修理に出す必要があるようです。5年保証が尽きるのが先か、電池の寿命が来るのが先か見ものですね。
サイズ
長さ265mm × ヘッド直径129mm × テール直径59mm と、今まで触ってきたライトの中で一番大きいと感じました。
もちろんこれよりも大きいライトもあるのでしょうが、21700、26650、18650電池を使用するライトしか触れてこなかった私にとっては非常に大きく感じます。さすがに専用バッテリーを使用するようなライトは大型ですね。
以前レビューしたGENTOSのLEDランタン「EX-109D」と比べても、太さも長さも上回っています。(太さはヘッド部だけですが) ランタンよりも太いライトは取り回しが悪いような気持ちもしますけれど…
仕様
使用LED | Cree XHP70.2 18灯 |
---|---|
モード | 100000lm→25000lm 60s+52min 60000lm→25000lm 70s+55min 30000lm→25000lm 3.8min+60min 22000lm 67min 10000lm 3h40min 5000lm 6h50min 2000lm 9h15min 700lm 14h52min |
最大到達距離 | 1350m |
耐衝撃性 | 1.5m |
防水性能 | IP56 |
重量 | 1900g(電池込み) |
サイズ | 265mm(長さ)*129mm(ヘッド直径)*59mm(テール直径) |
使用電池 | 専用バッテリー |
使用してみて
明るさ&配光
明るさに関しては文句なしです。というよりも明るすぎて簡単に使えないのとランタイムが短いという点で、他人に見せびらかすときか威嚇用にしか使えない気がします。基本的には700lm~10000lmの間でしか使うことはないだろうと思います。
ちなみに、夜間に100000lmで手元を照らしてしまうと反射光がまぶしすぎてフラッシュバンの閃光を浴びた時のようになります。
100000lmで照らすときは遠くを狙ってからモードを切り替えように気を付けましょう。
配光は拡散型ですが、リフレクターのおかげで集光され、きちんと中心部分が明るくなっています。
明るさでゴリ押すタイプのLEDライトですが、爆光に頼らずともある程度遠くまで照らせそうです。以下に掲載している照射画像で配光を確認していただければと思います。
以下、屋外照射画像です。
コンパクトデジタルカメラにて”F値3.5、露出時間1/2、ISO速度100”にて撮影しました。また、ライトを手で支えて撮影しているため、画像にブレがあります。特にライトの明るさが暗いモードほどブレがひどくなっています。ご了承ください。
ライトの明るさの感覚をつかむような気持ちで見ていただけると幸いです。
近距離照射画像
中距離照射画像1
この画像では地面と平行な向きに照射しています。
中距離照射画像2
この画像では奥の小屋に向けて照射しています。
比較用照射画像
左がImalent DM70、右がOlight Seeker2 です。(写真撮影時の立ち位置が若干変わっているため、参考程度に見ていただければと思います。)
今までレビューしてきたライトと比較すると、明るさの違いがよくわかると思います
DM70の4500lmという明るさではではわかりにくかった奥の小屋の存在が、MS18の光だとはっきりと視認できるようになります。
冷却ファンの動作
冷却ファンは小さいものが2つ搭載されているため動作音は大きめで、初めてファンの回転音を聞いたときは驚きました。商品説明にもファン動作音が大きいことは書かれていましたが、実際に聞くと改めて音の大きさに驚かされます。
「GALLERIA QSF960HE」というゲーミングノートパソコンを以前持っていたのですが、そのノートPCは冷却ファンを手動でフル回転させることができ、そして動作音も普通のノートPCよりもはるかに大きいものでした。
MS18の冷却ファン動作音は、そのパソコンの冷却ファンの音量と比較しても、さらに大きいぐらいの音量でした。
もちろん掃除機や小型サーキュレーターほどの音量程大きくありませんが、パソコンの冷却ファンと比べるとだいぶ大きいです。
とはいいつつも、冷却ファンが小さいので風量を稼ぐために動作音が大きくなってしまうのは当然ですし、LED18個分の発熱を処理するにはこれくらいの動作音がしないと逆に不安になります。むしろLEDライトのヘッド内にこのような冷却機構を搭載したことに感心しています。
まとめ
MS18には驚かされることばかりでした。サイズは大きいですし、ライトなのに冷却ファンとヒートパイプが搭載されていますし、なによりその明るさに驚かされました。
今まで触ってきたライトでは、OlightのX7(最大9000lm)が一番明るいものだったので、今回のMS18の購入で明るさの階段も何段も昇ってしまったような感覚です。
ただ、日常的な使いやすさでいうと微妙な感じですね。
サイズが大きいのはもちろんですが、重量もありますし、明るさがありすぎて人がいるような所で使うと何だか恥ずかしい気分になります。街中では明るさや照らす方向に気を使っていないと迷惑にもなりますし…山で使う時は周りを気にせず照らせるので楽しいですけど。
機能的な欠点としては、近接センサーによる自動減光といった安全機構が備えられていないことですね。OlightのX9Rという爆光ライトが代表的ですが、ヘッド部がものに近づきすぎると自動的に減光する機能がついています。ですがMS18にはそういった機能はありません。
バッグの中などで100000lmで誤点灯した場合、減光するまでに1分かかるので、ライトの発する光で発熱、発火する可能性があり危険です。使用しないときは、スイッチロック機能を使用して勝手に点灯しないようにするなどの注意が必要です。
このライトの悪い点なんかを少し述べましたが、100000lmという明るさを前にすればそんなことも気にならなくなります。やはり爆光ライトを照らすのは楽しさを感じますね
Amazonで注文してから届くまでの間、YoutubeでMS18の動画を見たりしてワクワクしながら到着を待っていたのが懐かしいです。実物を手にしていざ点灯したときの驚きと嬉しさは、初めて何千lm級の爆光ライトを手にしたときのそれに等しいものだと思います。
値段が値段なので、圧倒的な明るさのライトを所有したいという方や、発熱を気にせず数万lmという明るさで長時間動作させたい方といった、普通の趣向とは異なる方にお勧めできる商品です。
\ 12月9日限定 /